お知らせ
小児の新型コロナウイルス(Covid-19)感染症について
6月1日に学校が再開されて約1か月が過ぎようとしています。学校で感染するのではないかとご心配の方も多いのではないでしょうか?小児の新型コロナウイルス(Covid-19)感染症についての情報が少ないことが不安の原因の1つであるように思います。そこで、日本小児科学会が出している小児患者の特徴を、一部改変してお知らせしたいと思います(改変するのは、一部専門的内容を含んでいるためです)。読んでいただければ、少しは安心していただけるのではないでしょうか。
- ① Covid-19患者の中で小児が閉める割合は少なく、その殆どは家族内感染である。
- ② 小児では成人と比べて軽症で、死亡例もほとんどない
- ③ Covid-19ウイルスは鼻咽頭よりも便中に長期間、大量排泄される
- ④ ほとんどの小児Covid-19症例は経過観察または対症療法で十分とされている
- ⑤ Covid-19罹患妊娠・分娩において母子ともに予後は悪くなく、垂直感染は稀である。しかし、新生児の感染は重篤化する可能性もある。
- ⑥ 海外のデータでは、学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しく、逆に医療従事者が仕事を休まざるを得なくなるためにCovid-19死亡率を高める可能性が推定されている。
- ⑦ 教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子供の心身を脅かしており、小児に関してはCovid-19関連健康被害の方が問題と思われる。
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
英国からのデータでは、1歳未満の小児の10%は重症化するというデータが公表されています。日本小児科学会の発表内容は、あくまで日本国内のデータに基づいたものです。
英国と日本では流行しているウイルス自体にも差がありますし、医療体制も生活習慣も違います。英国で小児例の10%が重症化するからと言って、現時点において日本で同じことを心配する必要は今のところありません。日本では小児の重症例が少ないことをありがたく思いながら、できるだけ生活の負担が大きくならないように、予防策を講じながら普通に近い生活をしていけばいいのではないでしょうか?
登校開始後、各地の学校で小規模なクラスターが発生しており、今後も発生が続くと思われますが、長期間の休校などの処置は、ほとんど有害無益と考えられています。(実際にクラスターが発生した場合は、保健所の指示に従うことになり、休校となる可能性もありますが、感染防止上あまり有効ではなく、社会生活上の不利益が大きいというのが感染症専門家の意見です)
小児科の外来には、頭痛、嘔気、腹痛などの症状や肥満の悪化を主訴に来院する小児患者の数が増えています。行政には、安全第一という考えに固執せずに、メリット、デメリットのバランスを熟慮した対応をお願いしたいと思います。